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March 20, 2005

書談:竹内薫著『夜の物理学』

(文庫の解説風に書いて見ました。)

『夜の物理学』解説
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科学はナイトでないと。


著者によれば、ナイト(夜の)サイエンスとは、
「論理的な思考なんかじゃなくて、直感(思いつき?)や霊感めいたものに閃きを得て、そこから出発していくようなこと、」
だそうである。
どのようなものが、ナイトなのか。ぱらぱらと本書から拾ってみると。
「宇宙動物園説」
「多世界と赤ちゃん宇宙」
「無からの宇宙創成」
「ホイルの定常宇宙説」
などなどである。

F・ホイル卿の学説までナイトなのかと、古くからの宇宙論ファンは、いぶかしげにおもってしまうが。

それはさておき。なるほど。私たちが知っているサイエンスとはすべて昼間の、ということなのか。
しかし、ここで、はて、と思ってしまう。
著者の竹内薫氏の著書リストを見てみると、

『アインシュタインとファインマンの理論を学ぶ本』
『ペンローズのねじれた四次元 -時空をつくるツイスターの不思議』
『熱とはなんだろう』
『ゼロから学ぶ相対性理論』
『「ファインマン物理学」を読む 量子力学と相対性理論を中心として』
などなど。

ほんの一部だが、どれも昼間の物理学本。やさしくは書いてあるが、大学の専門課程の副読本にしてもいいくらいの正統中の正統である。特にファインマン物理学の解説書は続刊が待ち望まれるものである(2005年3月現在)。
その竹内氏がなぜナイト、なのか。
彼は宗旨変えをしてしまったのか。
それも本書で明かされる。

彼は実はナイトサイエンティストなのである。
彼がカナダのマギール大学で博士号を得たという超ひも宇宙論というのが、実はナイトな科学。本書では「準定説」という分類が成されているが、実験物理学者(彼らは昼間も昼間真っ昼間の科学者たちである)から「理屈はいいから証拠をみせろ」と言われるびみょ~な学説なのである。

しかし、再び考えてみよう。初めから昼間を主張できる科学などあるだろうか。古くはガリレオから20世紀のアインシュタインに至るまで始まりはみんなびみょ~、もしくは怪しいものなのである。そして、それらの中から昼間に昇格する学説が生まれるのである

だから、ナイトはナイトで終わらない。科学そのものと言えよう。

また、本書では、異端説、準定説、定説という分類が成されている。定説もきちんと紹介されているのが特徴である。そこがまた、夜も昼間も知っている竹内氏が著書である所以であろう。

さらに第Ⅲ章では「科学者だって人間だもの」と題して彼らの人間的側面が記されている(Ⅰ及びⅡ章でも竹内氏と直接交流があった著名学者の逸話が込められている)。人生の軌跡だけを記す伝記本でもなく、科学的観点を事細かに書き込まれた科学史本とも違う、それこそ、生身の科学者を知ることができる。アインシュタインやファインマンの「愛情物語」は有名であるが、何度読んでも心をうつものである。

文系にも理系にも好まれる物理学書である。

タケウチカオル、タケウチカオルと唱えるとみんな物理が好きになる。

アマサイ(科学技術戦略評論家)

補足:竹内氏の初期作品は茂木健一郎氏と共著の科学本。題名は『トンデモ科学の世界』。竹内氏はもともとナイト出身であることが明かされている。『よるぶつ』は宗旨替えではなく、回帰現象なのかも。
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