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June 15, 2005

書談:松本清張『山峡の章』

アマサイ、松本清張しか読んでいないのか。
そんなこともないけど、当たらずとも遠からじ。

これは清張作品の中でもちょいと異色なので書いておこうかなと。
女性誌に連載されたものなのだ。
1/3ぐらいに渡って
・新婚の女性が「結婚生活ってこんなはずではないのに」という心理描写と、
・実家にいる妹の素行の心配と、
が描かれている。
ミステリなので、当然この2つの事象は関係があるのだけれど。

導入からして、清張さんってこんな女心も描けるんですかい、
と少々驚いた。
彼の作品には悪女と呼ばれるような女性がよく出てくるが、この主人公は、ごくごく普通の(当時の)20代である。『ゼロの焦点』の主人公に近い。

その夫と妹が不倫心中のような死に方をする。
そんなはずはない。あの二人にそんなつながりはないはずだ。自ら究明に乗り出すのである。
他の作品だと、この事件が結構前の方に出てきて、全般を推理紀行にあたるのだがそうはなっていない。解決編は役人の悲哀とちょいと国際問題も出てくる。

やはり、読者の奥様層に受け入られるよう工夫されている。
その、新婚家庭の愚痴みたいのも退屈しない。読んでいて、いつ殺人事件が起こるのかしら、とはあまり思わないと思う。普通の大衆文学のように楽しんで読める。

そして大事なポイント、結果的に主人公も、夫も、実妹も不倫行為はしていないということ。まあ、小説ながら、そういうのはいや~な感じがするものではないか。今は違うけれど、女性誌に連載されているものにそういうものは求めていないんではないか。いや、反対にその手の物語はうんざりするほどあるので、清張さんはわざと避けたのかもしれない。もっと言うと、こういう女性誌を読むご婦人方はあまりにどろどろしているのは好まないという清張の女性像があったのかもしれない。

あと、夫ではなく、実の妹のために事件解明した、ってのもこの小説の特徴。
もう結婚直後から夫に嫌悪感を持つという設定なのだ。
それも結構現実味があったりするのかしら。

清張ファンも読んだことない人でも、本書はちょっと読み得かもしれない。

※これを書いたとき、本が手元に見あたらなかった。掲載した女性誌とは『主婦の友』、掲載機関1960.6~61.12でした。40年前の女性誌の潮流はわからないけど、やはり、不倫どろどろモノは載せなかったんでしょうね。

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