書談:宮部みゆき『誰か』
■宮部みゆき『誰か』光文社 857円(税別)
今多コンツェルン会長・今多義親の運転手梶田信夫が事故で死亡する。今多の娘婿・杉村三郎は義父から梶田の娘たちの手助けをしてくれと頼まれる。探偵さながら梶田の過去を追うことになった杉村だが、、、
ミステリは文庫落ちする前に新書で出る、ありがたいなあ。
宮部っちの小説にはいつも市井の人々への暖かいまなざしを感じる。
ヒールで駅の階段を駆け上がるOLだって、
終電でへべれけになっているオヤジだって、
幼子2人をそれぞれ小脇に抱えて横断歩道を走り去るお母さんだって(※)、
ランドセルしょって歩きながらゲームボーイする子供だって、
その他大勢じゃない、一人一人のかけがえのない人生を生きているんだ。
そんな感動を覚えた。
こんな何気ない(そうではないエピソードもあったけど)事柄でミステリを書ける、人を喜ばせるってすごいなあ、と素直に思った。
杉村って、ほんとにいい奴だ。奥さんは幸せだろう。事実杉村家は一家和楽の典型。でも、それは全然嫌味に感じない。どこか現実にいないのか、杉村三郎!それには映画館で痴漢に遭わなくては(本書参照)。
これ、映像化したらとってもいい。名作になると思う。でもなあ、あのトリックはどう表現するかは問題だ。
どんな辛いことがあっても、投げちゃいけない、くさっちゃいけない。宮部っちの小説はそういうことを教えてくれる。
宮部みゆきがいる限り、日本はそんな捨てたもんじゃない。
ちょいとオーバーでしたか?
※隣の家のお嫁さんがそのような行動をしていたのを見たのじゃ。母は強し、いや、かなりずごく強い、と思ったのさ。
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