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November 17, 2005

書談:『コンピュータの熱い罠』

『コンピュータの熱い罠』
著者:岡嶋二人
出版:講談社文庫
単行本発行:1986年、カッパノベルス

事実上、品切れだった講談社文庫の岡嶋二人作品が次々と増刷されている。めでたい、めでたい。

[あらすじ]
夏村絵里子はコンピュータシステム会社に勤め、とある結婚相談所のデータベースを担当している。ある日、そのデータを照会させてほしいと名乗る中年女性が現れる。彼女は、翌日何者かに殺されてしまった。絵里子は、その原因をデータベースに求める。次々と浮かび上がる不審な人間関係。絵里子は、遂にその元凶を突き止める。彼女が見た「犯人」とは。

当時のコンピュータ事情が記されていて、それだけでも私にはおもしろかった。

ディスクとかテープとか旧式コンピュータの用語が出てくるが、20年前に書かれたとは思えないほど、現代に通じるテーマである。個人情報管理は、先頃本格的に法制化されたばかりではないか。

あんなにうまく複数の人間を殺せるものか、と思うが、たぶん、執筆当時クローズアップされた事件から情報を得たのであろう(どういうものかはネタばれになるので記さない)。

よく、この手のミステリは、人間の掘り下げ方が浅いというが、その批判は場違いである。この小説のテーマは情報化社会なのだから、社会派小説として評価するべきである。

と言っても、ミステリとしてよく人物が描けていると思う。特に、主人公の絵里子は、コンピュータ技術者という当時あまりいない女性職業人の一面と、いわゆる普通のOLの側面が、無理なくストーリーに活きていた。あまり比較したことはないが、岡嶋は、男性作家の割には、女性を描くのがうまく、小説における女性主人公の利点をよく理解している。
この前読んだ『どんなに上手に隠れても』でもそう思った。

理系作家という変なカテゴリがあるが、その類で行けば、岡嶋は理系作家(理系ネタをメインにしている点において)か?それにしても現代の理系作家と呼ばれる人たちは、専門分野を深めすぎていて、学術界の悪しき細分化を文学界に転移させているような気がしないでもない。理系でも文系でも作家になった限りは、まずは"ブンガク"を習得してほしいものである。

Biblo Styleさんのこのページが岡嶋作品を手際よく紹介している。

昨日は、4位を確保したのも束の間、またセキララ助教授の下位となってしまいました。っていうか、sachiさん、セキララ、アマサイの科学屋御三家(素人だけど無理矢理アマサイも入れる)全般的にポイント数落ちています。
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