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January 08, 2006

書談:『物質をめぐる冒険』

『物質をめぐる冒険-万有引力からホーキングまで』
竹内薫著 NHKブックス 2005年11月発行

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本書を物理啓蒙書、あるいは科学解説書として読んではならない。読者が物理学史の中で思想を見いだせるように著者が案内をしている。それが本書の正体である。

ニュートンやマクスウェルによって世の中の事象からモノ観が確立される。その後、アインシュタインの重力場理論によって、モノからコトへの大転換が行われる。相対論と量子論が現代の物理観を確立したのは疑いのないところである。そして、近年は、超ひも理論やループ量子重力理論によってモノ観はほとんど消滅し、コトでなくては物理は語れなくなった。また、すでにコトさえも通りすぎて、メタフィクションの世界に突入している。これほどダイナミックに思想が転換した分野が他にあるだろうか。いや、これは、物理学固有の理論を展開しているのではない。私たち自身とこの世界がモノからコトへそしてメタフィクションに変換しているのである。

著者は「はじめに」と「おわりに」に大学時代に出会った友人の死と哲学者大森荘蔵の言葉を綴っている。

「人が死ぬとモノとしての人体はなくなるが、その人が生きていたコト、言いかえると、その人の生き様は残る」と。

人間は400年近くに及んだ科学革命を経てようやく生老病死の実体に近づいているのである。本書は、メタフィクションの時代に人はいかに生きるか、を問いかけでもある。

(553文字)

安満 彩(あま さい・科学技術アナリスト)

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