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February 12, 2007

書談:小池真理子『無伴奏』

025167250000■『無伴奏』
著者:小池 真理子著
価格 : \540 (本体 : \514)
出版 : 新潮社
発行 : 2005.3
※本書は94年に集英社文庫に収録されています。他社の文庫に再録するってどういう契約形態なんでしょうね。

60年代末の仙台。女子校に通う響子は、ジュリーやレイコととも制服廃止運動に携わるが、バリバリの運動家というわけではない。日常をけだるく生きるある意味普通の高校生である。ある日クラシック喫茶「無伴奏」で美青年渉とその友人裕之介、エマと出会う。渉に影があるのは、不遇な生い立ち故だけではなかった。響子はそんな渉に惹かれていき、思わぬ方向に響子は導かれる。

私のブログをいつも読んで下さる人と小池真理子の小説を読む人は見事に交わらないようである。(^^;)

いや、コメントがないとかじゃないくて、アクセス数とか「ぷちっとな」から何となく。東野圭吾や田辺聖子や松本清張の本のことを書いているときは、そんな感じはしないんだが。

まあ、別に世間に何かを問うわけじゃなくて、元々好き勝手なこと書いてるだけだし。

学生運動というと何かドロドロとした時代という感じだが(私にはね)、主人公が女子高校生のせいか、そんな隔世の感はない気がする。何かすぅーと、『無伴奏』の世界に吸い込まれるような気がする。時代も場所も明らかに私の高校時代とは違い、響子とも同じ特性は見いだせないんだけれど、ハイティーンの女の子には、共通の潜在志向(そんな言葉あるのか?)があり、それを感じるわけです。

三田誠広を一時期、結構長い間読んでいたのだれど、『僕って何?』はノンポリ青年の話だったけど、なんか時代がうねっている感じが読みとれました。それは、時代背景じゃなくて作風のせいなのかもしれない。

これもよかったです。深い感動に浸りました。うーむ、もっと若いころは、本を読んで感動すると、1ヶ月くらいはその中いることができたし、友達にもばしばし薦めていたりしたんだけど、最近は保たないなあ、感動が。

渉ってそういう奴なのかなというのは、結末で以前でわかりますが、それは別に感動を損ねない。ネット評で「80年代後半に書かれたにしては、オチが保守的ではないか」というのがあった。いや、別に保守的じゃないでしょう。っていうか、ミステリじゃないんだからオチとか言うの止めなさい。( ̄▽ ̄;)

なんか居るんだよね、ストーリーマンガとか、長めの小説読んで、途中で人間関係的なオチ(誰と誰が実は血縁だったとか、特殊な性癖があるとか)すぐわかってしまい、「あれつんまんない、すぐそれわかったもん」とか言う奴。小説読む権利ないとか思っちゃいます。文学ってそうもんじゃないのに。頭いいんじゃなくて感性が鈍いんだと思う。

それはさておき、これは響子が40歳になるころ、かつて高校時代を過ごした仙台に行って回想するという形態になっています。尋ねるのは、同級生ではなくて、渉の姉勢津子。これも小説の技巧としてうまいです。読者は勢津子がいかなる人物か、彼女をひたすら追います。だから、結末に続く50ページはちょっとある意味、ミステリのどんでん返しです。ミステリ作家が純文学を書くと鬼に金棒ですね。

小池さんはあとがきに書いています。
「本書には大それたテーマはない。時代の総括などということも頭から考えていなかった。私はただひたすらかつての自分を思いだし、かつての自分をモデルとして使いながら、時代をセンチメンタルに料理し、味わってみようと試みた。(中略)本書が少しでも多くの読者に歓迎され、忘れかけたことを思い出す手助けになるよう祈りつつ・・・」

ふむふむ、確かにそういう小説でした。石田衣良氏の解説もよく書けてます。

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