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September 23, 2007

書談:松本清張著『断線』

Rikukosuiko■『陸行水行』
著者 : 松本 清張
価格 : ¥580 (本体 : ¥552)
出版 : 文藝春秋 文春文庫
発行 : 2007.8
bk1

清張の短編集は全部読んだと思ったが、まだ残っていた。これからも文庫未収録の作品が発掘されるのだろうか。すごい。

表題の『陸行水行』はわたし的には、それほどおもしろくなかった。サスペンスというよりも、清張の晩年の仕事になった日本古代史がモチーフとなっている。本人もストーリーはどうでもよくって、自説史観を披露したかったのかもしれない。

私が読後、「うーむ」と声を出してうなったのが、ここに収録の『断線』主人公のええ加減な男が女から女に渡り歩いて、関係を切りたいが故にそのうち二人を殺してしまう。一人目のときは、うまく遁走して、容疑者リストにもあがらないという芸をやってのけるのだが、二人目は、完璧なアリバイを作ったと思いきや、ほんの隙間から犯行がばれるのである。ラストシーンはその二人目の女の死体が見つかるところで終わる。その2,3ページの描写がすごくって、3回くらい読み直した。はじめから読まない人には、ここだけ読んでもしょうがないと思うが、それまで130ページの淡々とした積み重ねが、読み手にあっ、と言わせる。少なくとも私はそう思った。清張の良さはいまさらいうまでもないが、なんてうまいんだろうと改めて感心した。感情表現がまったくないために、読み手に感情移入させる。小説職人の真骨頂だと思う。

悪女はかわいかったりするが、男のワルはいやらしいだけである。この主人公も非常に陰湿なのだが、なぜか、この男はもっと若いころ、幼少はどんな生活だったんだろうと興味も持たせる。エピソード1を作ってもいいくらいだ。

私程度の感性で、この男はおもしろいと思うのだから、プロもそう思うらしい。その主人公が松田優作で映像化されている。http://kobe.cool.ne.jp/yusaku89/sakuhin.htm

同書収録の『形』も同じ意味ですごい短編である。

松本清張がいなかったら「2時間ドラマ枠」っていうのもなかったかもね。今日も人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】
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