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September 11, 2007

書談:山崎豊子著『女の勲章』

Onnanokunsho■『女の勲章』
著者 :山崎 豊子著
出版 :新潮文庫
発行 :2005.12
bk1
初出:毎日新聞連載小説(おそらく昭和35年)、昭和36年中央公論社単行本、昭和40年新潮文庫収録
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小さな洋裁教室を経営している大場式子は、マネージャー役の有名大学仏文科出のエリート八代銀四郎ととも、洋裁学校を事業として拡大し、ファッション界のスターとして躍り出る。それと同時に式子の教室時代からの内弟子の3人(かつ美、倫子、冨枝)を主要教員として雇い入れ学校の充実を図る。しかし、その3人はいずれ自分がトップにと競争心を募らせ暗躍する。そこにつけこんだ銀四郎は、式子を含む4人の女性と関係を結び私利私欲の布石としていく。事業拡大にむなしさを感じ始めた式子は、銀四郎の紹介で学校理事となっている白石教授を慕うようになった。銀四郎の「お膳立て」がすべて済んだころ、式子は、彼の本心を知ることとなる。
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本書は、山崎作品の2本柱、その後の『白い巨塔』につながる業界内情ものと、彼女の出身地を活かした船場老舗の嬢(いと)はんものと、が十分に楽しめる完成度の高い作品である。今のところアマサイのRecenty Bestである。この夏休みに読んで書評まで書いてしまった(それを間、間に埋め込んでいます)。

山崎さんにとって本作品は、初の新聞連載であった。連載には毎回ある種の盛り上がりと全体の流れの複線が必要だと考え、その点苦心されたそうだ。

うーむ、山崎豊子すごいぞ、そういうだけあってページをめくるのが楽しみであった。このころのファッション業界ってそうなっているのか、ふむふむ、丁度森英恵とか三宅一生なんか登場する一昔前である。当時は洋裁学校を持つことがデザイナーとしてのステータスなのだそうだ。
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銀四郎は、初めての服飾学院甲子園校設立後、すぐに学校のチェーン展開を考える。ブランチ校の発想はこの時代でも珍しいのではなかろうか。銀四郎のワルが発揮されるのは、式子だけではなく、彼女の内弟子、倫子、かつ美と痴情を結び新設校の校長にすえていくところである。女性にとっては唾棄するような人間である。しかし、女性たちにも黙って利用されるような愚かさはない。自分のステータスを上げるためであったなら、銀四郎も利用してやろうという魂胆である。「4人目」の女、富枝などは学校の職員になったときから、式子も銀四郎も野望の駒と考えて行動していたのだから恐れ入る。右も左も喰えないやつらばかりである。
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やっぱりねん、山崎作品はこういう女同士の闘いにがみどころなのよねん。

映画では、
大庭式子:京マチ子 キョウマチコ
津川倫子: 若尾文子 ワカオアヤコ
坪田かつ美:叶順子 カノウジュンコ
大木富枝:中村玉緒 ナカムラタマオ
八代銀四郎:田宮二郎 タミヤジロウ
となっている。

京マチ子さんは当時のトレンド女優だったんだろうな。彼女を配役すれば、観客は入るって状態なんだろうね。一番小賢しい冨枝が中村玉緒って不思議な気がするが。週刊誌風にいうなら、京VS若尾、ですね。
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式子は、甲子園校設立の際、その建物の一面をスタンドグラスにして、自分の家紋を彫り入れる。式子はその紋章に船場の商人としての誇りと、芸術家として魂を埋め込んだ。しかし、彼女の人生は、その紋章ではなく、栄誉という勲章で飾られることになった。人は誰でも、心に紋章を持っているのだろう。だが、それだけでは満たされることはない。世間に自分の地位と富とを知らしめることのできる勲章を欲しがる。勲章がその重みで切れてしまうとき、同時に紋章をも失ってしまう。この小説は、人間どうしようもない性を示しながらも、その性ゆえに人は美しく、愛らしいのだということを描いているのだと思う。
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勲章ではなく、紋章。男の紋章、ってやくざ映画でしたね。勲章に対して精神性を表しているのがいるのが紋章なのかな。

ところで、読みもしないのに、駄作だとか、裏付けがなってないとかいう人間て多いですね。そういう輩って、たぶん読んでも評価できないでしょうね。いい大人になって読解力がないってみっともないなあ。新人作家のインタビューで「悪いけどあんたの本読んでないんだ。どういう小説なの?かいつまんで教えて」っていう頭すっからかんのことが真保裕一のエッセイに書いてありましたが、巷にはすっからかんが溢れているんだなあ。

いや、ほんの独り言です。

近頃、松本清張に続き山崎豊子に凝っています。今日も人気blogランキング、ぷちっとな。【押す】
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大阪の裕福な商人町で生まれ育った式子は、 親からの財産と手習いとを基に、洋裁学校を建てる。 その校舎の正面の壁には、 家紋の日輪をかたどったステンドグラスが。 洋裁という、女ばかりの世界で渦巻く、 古い因習に陰湿な嫌がらせに、裏をかく駆け引き。 そして、それを利用する、男の野望。 利用されているだけだと思いたくない、 男の野望に気づかぬフリをする、... [Read More]

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