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October 09, 2007

書談:小池真理子『夜は満ちる』

Yoruhamitiru官能幻想小説、要は友人知人肉親が幽霊になって出てくる。この手のものを小池さんは短編長編、相当量書いている。

映画『ゴースト』を見たとき、恋人を幽霊にしないと恋愛映画作れんのか、ハリウッドは底が浅いのう、と思ったが、もちろん小池作品にはそんな陳腐さはない。

この中でいっとう、よかったのは『蛍の場所』。継母とうまくいかず家を出た姉のあとを追った主人公。姉は恋人の援助もあって田舎町に喫茶店を開く。主人公をまた店を手伝う。その姉は恋人と別れ、自立の道を歩むが心労が重なり、病の床に伏す。入院した姉の変わりに一人で店を切り盛りする。主人公はそこで一人の青年と出会う。彼女が想像した蛍の場所、を見つけようと青年は言う。

彼女は田舎生活に飽きて、小説を賞に投稿して、それが当選して、映画化までとんとん拍子に運ぶ、その青年は配役され、主人公と出会うのである。結局映画は頓挫するが、青年との関係はつづき、、、

短編にするにはもったないほどの密度の濃さ。作家にとっては短編は割に合わないと聞くが(構成を考えるのは長編と変わらないのにそれを複数打ち出さないと一冊にならない)、小池さんに関してはそんなことはないようだ。ストーリーはいくらでも出てくるのだろうか。同じ様であるが同じな作品は全くない(当たり前だが)。

誰が異形の世界からやってくるかは、ネタバレなので書かないが、ラストの蛍のシーンは圧巻である。蛍には確か、彼岸から来る人のための灯火、という考え方があるよね。それ以前に昆虫があの世とこの世を結ぶ逸話も結構あるみたいだ。

構成の精密さと幻想的な雰囲気は、この種の作の中でもピカイチである。

林真理子が宮部みゆきのことを「松本清張の娘」と表したことがあるが(もちろん、血縁のことではなくて、社会派推理小説という型を継承しているということである)、アマサイはどっちかっていうと小池真理子が「清張の娘」なんじゃないかと思う。いや、宮部さんは正妻の子で、小池さんは外で産ませた、といったところである。清張もラブロマンス結構書いてるしね。

おお、これはなかなか良いフレーズではないか。
盗むなよ(^_^;)

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