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November 01, 2007

書談:松本清張『蒼い描点』

Aoibyouten■『蒼い描点』 改版*
著者 :松本 清張著
価格 : ¥860 (本体 : ¥819)
出版 : 新潮文庫
発行 : 2002.3
*文字を見やすくしたタイプです。

新米の雑誌編集者・椎原典子は、女性作家・村谷阿沙子の担当である。気難しく神経質で、執筆中は絶対に自室にあげない人物だった。有名な文学賞を取っているが、最近は原稿が遅い上に出来もイマイチと影でうわさされている。しかし、人気作家にかわりはなく、常に新作を待望されているのだ。典子は編集長に急かされて村谷が家族総出で滞在している箱根へ原稿の督促に向かう。そこでフリーライター田倉の変死に遭遇してしまう。田倉の死を待っていたかのように村谷は、典子に原稿を渡さず、鎌倉を去る。まもなく村谷、その夫、女中の相次ぐ失踪。村谷は精神病院に入ったとわかるが、そこで謎の死を遂げる。典子は、二人の死と村谷の作品には何か関係があるのではないかと推理する。
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女性が主人公だし、裏表紙のあらすじを見てもそんな暗い感じはしないから、前々から読んでみようと思っていた。でも、書店で手に取るとまた棚に戻すことが何度かあった。菊川玲である。菊川くんが本書のドラマの主演をやるので、かなり長いこと帯に彼女の写真が載っていた。清張先生のドラマに菊川はないと思うが(なんと2年前に『黒い樹海』の主演もしている)。編集者という知的な仕事柄、菊川に目を付けたのだと思う。設定が入社して間もないところから、演技の拙さも若さでごまかせられるのだろう。

でも、菊川は止めてくれ。

で、放送も終わり、帯も替わったので読んでみました(もちろん、菊川のドラマなんか誰が見るか!)。謎が謎を呼び、人間関係が微妙に絡まり合い、広がっていく。それが編集長の白井に戻るあたり、やはりうまいなあと思わせる。ゴーストライタートリック?はよくミステリーに出てくるが、そこは清張先生なので、一筋縄ではいかない。時代背景や文芸知識のうんちくもおもしろい。そこに同僚の崎野との恋も出てくるのだから、小説の幕の内弁当のようなものだ。

箱根が何度も出てくるのもなんかいいね。観光案内も兼ねている。他にも作品はあるから、「松本清張と歩く箱根」なんてルポもあってもいいかもね。

以前も書いたと思うが、清張作品の魅力の1つは、昔の日本を体感できること。これも背景は昭和30年代なんだろうな。この時代は、こういうふうに人間も単純だった、とは思わないけど(本書は本書で複雑です)、昔の人はもっと自分に素直に生きていたような気がします。

本書も文句無くおもしろいです。

清張全巻読破ですか?しないです、しないです。品切れ絶版も結構あるし。いくら読んでも読み尽くせないのも魅力です。今日も人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】
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