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January 06, 2008

書談:小池真理子『唐沢家の四本の百合』

Karasake4lilies
■『唐沢家の四本の百合』
著者 :小池 真理子
税込 : ¥600 (本体 : ¥571)
出版 : 中央公論文庫
発行年月 : 1995.9

読んだのは、11月くらいだが、そのときからブログにアップしようと思っていた。

唐沢家の三兄弟それぞれに嫁いだ紀佐子、勢津子、夏美は実の姉妹のように仲がよかった。その中心にいるのは、兄弟の父慎介である。「三姉妹」は慎介を実の父以上に尊敬し、愛していた。「三兄弟と三姉妹」は唐沢家に敷地内にそれぞれ家を建てた。彼女たちの姑にあたる慎介の妻は、紀佐子が長男慎一と結婚したときは、病床にあり、その一年後亡くなった。洒落者で遊びも仕事も精力的な慎介は、その数年後、若い女性と再婚する。その女性には高校生の娘がいた。慎介は、その義娘と息子たちの嫁3人を唐沢家の4本の百合に例え惜しみない愛情を注ぐ。しかし、ここから唐沢家に歪みが起こり、崩壊への道を進んでいく。最初の犠牲者は、紀佐子の夫・慎一と後妻の寿美江であった。

80年代~90年代に流行った心理サスペンスの部類であろう。でも、別に推理小説でなくてもいいのになあ、と思う。義父が息子の嫁たちを「私の愛人たち」などと冗談を言って迎え入れる、そんなあり得ない?情景をもっと楽しみたかった、それこそ、サスペンスは殺人ではなく、道ならぬ恋、だとよかったのに。

アマサイは小さい頃、大家族の一員だった。父が結婚してからも狭い本家に母と住んでいたからである。よく覚えていないが、祖母、父の兄である長男夫妻、その子供たち、結婚していない叔父・叔母、長男の嫁・叔母は床屋を営んでいて、見習い理容師さんとかも勤務していて、とにかく人が大勢いたという感じ(富山県に4歳までいたというのはそのころ)。

子供の有無はあるけれど、なになに一族というと普通の日本ではアマサイ家のような形態である。唐沢家のようなおしゃれな雰囲気はないんである。ああ、そうか、貴族だと思えばいいのか、敷地内に家屋を3軒も増設できるって、普通の財産/経済状態じゃないわな。
小池さんはフランス小説の多く影響を受けたそうだが、本書の背景にそういう要素が入っているんだなあ、きっと。

後半は、寿美江の娘・有紗を中心に話が展開される。こいつ、なんかしているだろう、というのは、誰でもわかるけれど、どんでん返しが二重、三重構造になっているあたりさすが小池真理子である。これほど精度の高いミステリというのは、他にないんじゃないですかね。

小池さんが『妻の女友達』で推理作家協会短編賞を取ったのが89年、『恋』で直木賞を受賞したのが96年、本書の単行本が91年。もうすでに「恋愛小説家」の基盤はできています。ミステリー作家でデビューしたのは、その方が需要が多いからであって、89年の時点で『恋』にような作品を創出するのは折り込み済み、だったのではないでしょうか(ミステリから恋愛モノにソフトランディングしたのは自然の流れではなくて、初めから戦略なのではないかということです)。

小池さんの作品は結構読んできていますが、うーむ、日本を代表するすごい作家であるな、ということを読むたびに思うわけであります。

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