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July 15, 2008

湯川秀樹、小柴昌俊、戸塚洋二

Kimball兄貴やKaraokeguruiさんのとこでご紹介の「戸塚洋二の科学入門」というサイトを読んでいる。戸塚さんの後継育成にかける意気込みが伺える。

そこに、「二十歳のころ」というページがある。
これは立花隆が東大で講師をしていたころ、学生と東大OB/OGにしたインタビューをまとめたものである。そのインタビューされる側に戸塚さんもいたということである。

学生運動が盛んなころに物理学者志望学生として過ごした戸塚さんの青春期である。

大学に入学したのは、1960年、安保の年。同級生には山本義隆君とか、大変な人物もいたんだけど、僕は典型的なノンポリだった。

それでも、デモには2、3回行ったよ。国会突入のときのデモにも行った。だけど、これはとても学生の手に負えるものじゃないという感じがした。

ノンポリのほとんどの人がそう思ったんじゃないかなあ。人生を賭けるようなものだとも思えなかったな。

驚いたよ。だって、大学に入ったら、いきなりストライキでしょ。授業のストライキって何だ、って思った。今の若いみなさんは、どう思いますかね。

青春ってのは、僕にとっては大学に入った60年から72年、大学院を卒業した年までかな。

僕には、いいかげんなところがあってね。富士高(静岡県立富士高等学校)の生徒だったとき、この成績じゃ理1(東大理科1類)に入れないと思ったんだ。でも、とにかく東大に入るために、思いきって理2に入ろうと。進振(進学振り分け)で物理学科に入ればいいと考えたわけ。

そして理2に入った。

物理学を志した理由も時代を反映している。

勉強していないのに、どうして大学院に入れたか? それがね、入れるんだな(笑)。当時は、面接をごまかせたんだ[「ちっともいい話がない」と奥様]。

ひどいもんだよ。全然、筆記試験はできなかった。

空手は大学院の初めの2年間は、審判員として後輩の面倒を見ていた。でも、大学院に入ると研究と両立できないから、そこで空手はやめて、人生を開拓する方に切り替えたわけ。

やっぱり研究には、朝から晩まで時間をとられるんで、両立は無理だね。特に能力のない者はね、時間で稼ぐしかないんで。


  ――これまで、第一線で活躍されるいろんな研究者の方にお話を聞いてきましたが、けっこう「自分は時間で勝負する」と言う方が多くいらっしゃいました。

ガリガリやってね、僕もそういう研究生活を送ってきましたよ。

実は、こういう雑誌が出てきたんですよ。

1969年の「LIFE」。これまで何回も引っ越ししているんだけど、この雑誌だけ残ってたんだよ。

今考えると、我々の世代にとって、ケネディの与えたインパクトは非常に大きかった。アポロ計画っていうのは、探検なんだけれども、すごいと思ったねえ。アメリカのアレを見て、もっと研究したくなった。

  ――そもそも、物理学者になりたいと思ったのはどうしてですか?

なんでだろうねえ。高校のときに、アインシュタイン、インフェルトの『物理学はいかに創られたか』(岩波新書)という本を、図書館で手にしたんだ。面白い本だなあと思ってね。それがきっかけかな。

アインシュタインとアポロ計画ははずせないようだ。
アインシュタインは理論、アポロは実験の究極というような気がする。
別に相対性理論を確かめるためにロケットをとばしたわけではない。しかし、それぞれ、物理学の側面を象徴してはいないだろうか。

湯川秀樹のノーベル賞は、1949年。7歳の時だった。

やっぱり、興奮しましたよ。日本に素晴らしい学者がいるんだって。この頃から既に、理科少年だったかもしれない。

だけど、この頃から理論が日本に定着したんだよな。理論の方が実験よりも偉いんだ、という考え方が。僕はそれはちょっと好きじゃないんだけど。

理論も人間の頭脳が考えることとして非常に重要なんだけども、僕はやはり、理論を採用するかどうかを決めるのは自然であって、だからやはり自然から情報を得るというのが一番重要なことなんだ、と思ってる。その辺両立していけばよかったなぁ、と思う。まあ、これから両立させなきゃいけないんだけど。

そして、湯川である。湯川秀樹がいなかったら日本はどうなっていただろうか。すくなくも科学技術立国と呼ばれるには、20年くらいの遅れがあったのではないかと思う。朝永振一郎、江崎玲於奈がその後、ノーベル賞を受賞していたとしても、だ。

この年代の人たち(あのノーベル賞受賞時に物心ついていた世代)が湯川を語るとき、何か特別な崇高なものを語るのと同じではないかと思う。それだけ、日本人にとっては、インパクトがあったのだ。

今、今後、21世紀に湯川秀樹のような人物は現れるだろうか。物理学者である必要はない。生物学者でも、化学者でも、思想家、政治家、小説家でもかまわない。そのような偉大な理論を提示できる人がいるだろうか。

科学や思想になんとなく感じる喪失感は、もうそのような偉大な人に出会えない、という予感なのではないかと思う。

小柴先生と戸塚さん。2人合わせると、湯川秀樹くらいの影響があったかも。やっぱり、早く逝きすぎました。人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】
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