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November 27, 2008

書談:『死刑執行人サンソン』

Sanson■死刑執行人サンソン
-国王ルイ十六世の首を刎ねた男-
著者:安達 正勝著
価格: \735 (本体 : \700)
出版: 集英社
発行: 2003.12
bk1

ひさびさに新書の大作を読みました。アマサイにとって新書とは単にお手軽な知識を注入するためのものではなく、現代に生きていく指針、感動さえももたらすものでした。それはこれほど新書が乱立する前のことです。

御三家、勝手にいっちゃいますが、講談社、中央公論、岩波が市場を閉めていたころ(+講談社ブルーバックスであるな)、毎月、どれを買うべきか迷うほど良書が出ていました。

しかし、こうも新書だらけになると、質が低下するのはやむえないですな。

そのなかで本書は光り輝いていた~!

って5年前に出てたんですね。

駅内書店にあったのでてっきり新刊とばかり、アマサイセンサもにぶってきたか。

ここでのサンソンは、シャルル=アンリ・サンソン。パリの死刑執行人を勤めたサンソン家の4代目当主です。どこの国でも同じでしょうが、執行人は親子代々執行人です。しかもフランスでは、忌み嫌われ、町中には住めなかったそうです。市民が彼とその家族の接触を拒んだからです。商品さえも売ってくれないのです。子供を学校に通わせるのも困難です。日本でいうと江戸時代のエタ・非人のようですね。

しかし、国から相当の給料はもらっているし、教養も豊かです。ムッシュ・ド・パリと呼ばれるにふさわしい。自分の仕事に対してたいへんな誇りを持っています。刑の執行は国王の名義で下されます。国王を敬愛してるからこそできる仕事であると。そもそも、彼が刑を行わなければ、罪人は逃げてまた罪を犯してしまうかもしれない。また、刑が決まってもそれを苦痛を最小限にして執行するのが彼の倫理観です。実際、死刑囚の遺族の中にはサンソンの心配りに感謝をしている人も少なくありません。高潔な死刑執行人なのです。

しかも、彼は早くから死刑廃止論者です。命を奪うことは何人足りともしてはならないという哲学を心に秘めています。

そして、革命の大河の中に彼は飲み込まれていきます。彼は死刑廃止が叶わないならば、せめて楽に死なせてあげるべきと考えています。そして、医学的も技術的も最高の死刑器具が発明されます。ギロチンです。彼は医者や職人とともに最良のギロチンを作るために腐心します。しかし、まさか尊敬するルイ16世をこの器具で自らの手で刑に処すとは。
いや、どきどきしますねえ、これからどうなるんでしょう。前半、本書の1/3のほどのところまでは、彼の祖父と彼の青年期を描いています。それでもかなりエキサイティングな人生です。こんな薄い本なのにどれだけ波瀾万丈があるねんといった感じです。

最終章のナポレオン1世との会話は、感動のあまり涙がこぼれそうです。

こんな著作があるのは、サンソンや彼の子孫たちが記録を残しているからです。後世に自分たちの生き様を残し、息子や孫たちに誇り高く生きてほしかったからでありましょう。現代に通じる高い志を感じます。

これを読んでから、もっとフランス史を知りたいと思い物色中です。フランス革命以前、中世、ブルボン王朝ができまでを特に知りたいです。革命ものは結構あるんですが、フランスの起こりから書いたものはあまりないんですね。まあ、地続きですから、ドイツ史やオーストラリア史も読めばいいんでしょうね。

今は岩波の『フランス史10講』を読んでいます。


安達さんに言わせるとルイ16世は賢帝の部類に入るそうです。数百年の王朝の責任を全て彼になすりつけられたのは気の毒です。人気ブログランキングぷちっとな。【押す】≪コメントはここ

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