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February 06, 2009

書談:奥田英郎著『最悪』

Saiaku■『最悪』
著者:奥田 英朗
価格: ¥920 (本体 : ¥876)
出版 : 講談社
発行 : 2002.9
bk1


川谷は小さな鉄工所を営む中年オヤジ。小さいながらも仕事はそこそこうまくいき、妻と年頃の娘と息子と小市民的生活をしている。しかし、近年は仕事場の周辺にマンションが建ち近所の住民が鉄工所の騒音をなんとかしろと文句を言い始めた。それだけでも頭が痛いのに、得意先から新規工作機械を入れるよう打診され、その資金繰りに奔走する日々が始まる。

みどりは大手都市銀行かめも銀行の女子社員。実家から通う彼女は、女性蔑視の環境に耐えながらもOL生活を満喫している。拒否したい労組関係の親睦旅行もつき合いで仕方なく参加。楽しいことは望んでいないが、まさか上司にセクハラ行為をされるとは。

和也はパチンコで生計を立てるプー太郎。ほんとどパチプロの彼は、真面目に働く同世代よりも僅かに上回る収入を得ている。ときどき勝てばちょっとした豪遊ができるくらいだ。昔なじみの大阪男と工場からトルエンを盗み出そうと持ちかけられた。以前にもやったことのある悪行で、彼には手軽に金を稼げる良いバイト?となっている。成功したはいいが、相棒はやくざのチンピラで、兄貴分からとんでもない「お仕置き」を受けることになる。

この三人の迷路がどこで合流するかは後半ですでにわかるし、何がおこるかもある程度予想が付く。

が、しかし、しかし、このような顛末となるとはなあ。

さすが、奥田英郎、イカシタラストシーンである。

読者は三人のうちの誰かに感情移入できるだろう。

アマサイは川谷である。オヤジでも家族持ちでもないが、メーカーの経営者の悲哀はアマサイにもなんだかよくわかる。

みどりは「銀行という所は中年の中小企業経営者という生き物と多く遭遇する」と言っている。なんだか、弱者の最大公約数みたいな人たちだな、町工場のオヤジというのは。

もう、川谷の一途な生き方が痛々しくて途中で読みたくなくなっちゃったよ。

しかし、最後は三人とも
3分得
3分損
で終わったのが爽快だった。

人生それぞれ苦楽はあるけれど、結局決算するとみんな同じなのかな。生きるってそんな悪いことじゃないな、と思わせる良書である。

フィクションと言えども、銀行屋にはほんとむかつく。人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】
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