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March 27, 2009

お仕事メモ:電気光学結晶KTNスキャナ

アマサイのお仕事に関係ありそうな技術です。KTNって見たことあると思ったんですが、別に過去には取り上げていませんでしたね。

光を自在に曲げる光学結晶を用いた従来比100倍高速光スキャナーの発売および従来比1000倍高速可変焦点レンズの実現
日本電信電話株式会社
NTTアドバンステクノロジ株式会社

 NTTは、光を自在に曲げられる電気光学結晶KTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa1-xNbxO3)を用いて小型で高速な光ビームスキャナーの基盤研究に取り組んでまいりました。  この度、NTTアドバンステクノロジ株式会社はNTTより本技術を取得し、従来製品の1/100以下のサイズで100倍以上の高速動作が可能な光偏向モジュール「KTNスキャナー」を研究機関向けに評価用サンプルとして販売いたします。 ・・・1  また、NTTのフォトニクス研究所ではこのKTN結晶を用いた新機能デバイスの研究を進め、電圧に応じて焦点距離を変えられる可変焦点レンズを開発し、既存デバイスの1,000倍高速で焦点距離を変えられることを実証しました。本件は、3月30日~4月2日に筑波大学で開催される応用物理学会にて発表されます。

・KTN結晶を用いたKTNスキャナーの特徴
 現在、レーザ加工、イメージング、プリンタ・コピーなどで光を曲げるのに使われているスキャナー素子としては、ポリゴンミラーやガルバノミラー、MEMSなどが広く用いられています。これら従来の素子は、ミラーを機械的に駆動するため、素子のサイズや動作速度に限界があり、また、ランダムに光の方向を制御することは困難でした。KTN結晶を用いた光スキャニングは原理的にはこれらの問題を一気に解決し、素子体積1/100、動作速度100倍と、いずれも2桁向上することができるという驚異的な性能が期待できます。

NTTさんの特許公開公報は見あたりませんでした。この製品に基づく出願はまだ公開されていないのかもしれませんが、以前から研究しているなら、KTNでひっかかるはずなんですが。

他の出願人のものはありましたので、それを引用してみます。

■特開2008-85960
【発明の名称】ブレ補正装置、撮像装置、ブレ補正方法、撮像方法およびプログラム
【出願日】平成18年9月29日
【出願人】カシオ計算機株式会社
-------------
【0005】
ところで、光学材料(電気光学結晶)の一例として、屈折率を変化可能な光学材料が報告されている。従来、絶縁体と考えられていたKTN(タンタル酸ニオブ酸カリウム)からなる40mm角サイズの電気光学結晶に電流を注入することによって、屈折率のグラデーションを誘起するという新しい動作原理(空間電荷制御モード)を利用して、スキャン効率(長さ1cm、厚さ1mmの結晶に、1kvの電圧をかけたときに生じる光のスキャン角度)が12度となり、従来EOビームスキャナと比べて80倍という高効率の超小型・超高速なEOビームスキャナなどの開発が報告されている。
【0006】
電気光学結晶の一例であるKTN結晶は、カリウム(K)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)と酸素(O)から成る透明な光学結晶であり、1950~60年代に初めて合成され、2次の電気光学効果(カー効果)が極めて大きい材料であることが知られていた。しかし、結晶成長が難しく、昨今まで実用化が阻まれていた。
【0007】
2003年、温度の精密制御を行うことなどにより、KTNからなる大型結晶の作製成功が報告され、40mm角という実用的な大きさを達成するに至った。KTN結晶の電気光学効果の大きさを表す電気光学係数は、600pm/V以上で、従来材料のニオブ酸リチウム(LiNb03)などの20倍(電界60V/mm以上の場合)以上に達するため、電気光学結晶による素子のサイズや駆動電圧を一桁以上向上させ、光スイッチなどでは、駆動電圧を1/10にできると発表されている(NTT発表資料、NTTフォトニクス研究所)。
【0008】
また、2006年5月に、KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa(1‐X)Nb(X)03)を用いて光を自在に曲げられることができる現象を発見し、従来技術に比べて80倍のスキャン効率を有する超小型・超高速なEO(E1ectro‐opt1c=電気光学)ビームスキャナが開発された(2006年5月18日、前述NTT報道発表資料)。
【特許文献1】特開昭62-47012号公報
-----------
<動作原理>
図1を参照して、電気光学結晶からなるブレ補正素子の動作原理と特性の例について説明する。
200885960
【0024】
KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム、KTa(1‐X)Nb(X)03)からなるブレ補正素子の動作原理は、従来、絶縁体と考えられていたEO結晶に電流を注入することによって、屈折率のグラデーションを誘起するという概念に基づくものである。従来型EOビームスキャナと比べて80倍という高スキャン効率を達成しているとされる。また、ポリゴンミラーやガルバノミラーなどの現行のスキャナ素子と比べると、素子サイズと動作速度について、KTN結晶からなるブレ補正素子は、素子体積1/100、動作速度100倍と、2桁性能を向上することが期待できる。
【0025】
なお、このような結晶に、電界を加えることにより材料の屈折率が変化する現象を「電気光学効果」といい、加えた電界に屈折率変化が比例する効果を「1次の電気光学効果」(ポッケルス効果)、加えた電界の二乗に屈折率変化が比例する効果を「2次の電気光学効果」(カー効果)と呼ばれている。
【0026】
また、この「電気光学効果」により、結晶に電圧をかけることにより、その屈折率が変化する特性を有する結晶を「電気光学結晶」(EO結晶、Electro‐optic結晶)という。なお、KTN結晶(タンタル酸ニオブ酸カリウム)結晶の場合には「2次の電気光学効果」(カー効果)を示す。
【0027】
次に、図1(A)はブレ補正素子の一例を示す斜視図である。図1(A)に示すように、ブレ補正素子11は、前述のようなKTN結晶などの電気光学結晶を直方体形状の平行平板として作製され、その対向する両面13a,13bに導電体金属やITOなどの電極15a,15bが形成され、検出したブレ量に応じて補正量を算出し、補正量に従って電極15a,15b間に印加する電圧を可変制御することで、そのまま電子制御可能な光屈折素子を実現でき、ブレ補正素子として利用できる。
【0028】
前述の屈折率のグラデーション分布(空間電荷制御モードEO効果)を用いる場合には、光軸(図1に示すA-A’線)上に電極15a,15bを設けないので、従来の電気光学結晶による偏向子のように必ずしも透明電極にする必要はなく、電極15a,15bによる透過率劣化や光量の損失もない。
【0029】
次に、図1(B)は図1(A)に示すブレ補正素子11に電圧波形を印加した場合に発生する屈折率分布の様子を示す模式図であり、図1(C)はこのブレ補正素子11の層厚方向と屈折率の変化を表すグラフである。
【0030】
このKTN結晶を用いた屈折率変化の動作原理は、図1(B)に示すように、電気光学結晶の対向する両面に形成された電極15a,15b間に所定の電圧波形を印加することにより、電気光学結晶内に電子を注入すると、屈折率は電極対間に誘起された電界の大きさに応じて線形に変化し、結晶の層内で屈折率のグラデーション分布が発生して(「空間電荷制御モードEO効果」と呼ばれる)、入射光は方向を変えながら進み、方向変化の蓄積により、出射光の角度が変化するので、ブレ量を検出しておけば、このブレ量に応じて撮影光軸を傾斜させ、撮像面への像ブレをキャンセルする新しい光学式のブレ補正装置を実現することができる。この現象は、電気光学結晶一般に適用できるといわれているが、KTN結晶では、誘電率10000以上という巨大な誘電率を有するので、顕著に発現することができる。
【0031】
次に、図1(D)はブレ補正素子の例として、KTN結晶とニオブ酸リチウム(LiNbO3)の電界-屈折率変化の特性を示すグラフである。
【0032】
図1(D)に示すグラフの勾配は、電気光学定数に相当し、勾配が急なほど屈折率の変化がより大きく、より低電圧で同などの屈折率変化を起こすことができることを示している。
【0033】
屈折率は、任意の直交座標系では楕円体の表面(屈折率楕円体)で示される。この楕円体の主軸の長さが主屈折率を示す場合が多いため、結晶の光学特性を説明する場合にこの屈折率楕円体がよく用いられる。ここで、光学パラメータ(1/nij2)を電界で展開すると、次式となる。
(1/nij2)=(1/nij2)+γijk・Ek+gijkl・Ek・El(1)
------------------
【0037】
すなわち、室温相である強誘電相のγ定数は、高温相である常誘電相における2次電気光学定数(カー定数)gに自発分極Psによるバイアスがかかったものといえ、誘電率(ε)の高い強誘電体は1次電気光学定数γが大きいことを示している。屈折率(n)やg定数といった基本的な値は、多くの強誘電体結晶に共通しているBO6型の酸素八面体構造に強く関係していて、特にg定数(カー定数)は結晶構造によらず略一定の値である。従って、上記(2)式から、γ定数(ポッケルス定数)が大きい強誘電体結晶を探すには、自発分極Psが大きく、かつ、誘電率εの大きなものが1つの指針となる。
------------------------
光学体を移動させずに合焦する技術は他にもありますが、KTNは有力候補の1つなようです。

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