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有機薄膜太陽電池

有機薄膜太陽電池でモジュールは作れるのか?産総研・當摩 哲也

有機薄膜太陽電池の研究の歴史はたいへん長く、1970年代には研究が始まっています。しかし当時は、光を当てるとわずかな電気を発生させる性能の低い太陽電池しかできませんでした。性能を大幅に向上させたのは、バルクへテロ接合構造の登場です。図1に示すように、バルクへテロ接合構造はp型半導体分子とn型半導体分子が混合した構造です。両者が混ざり合うことでp-n接触面積が増大して電流値が大幅に増大しました。この“混ぜる”という手法は有機系独特の技術です。有機溶媒に溶けるポリマー半導体の場合は、n型半導体と一緒に溶かして塗布することで形成することができます。低分子半導体の場合は、それぞれの材料を真空中で同時に蒸着する共蒸着法により形成することができます。

 図2に研究の一例を紹介します。p型半導体としてペンタセンを、n型半導体としてフラーレン(C60)を用いた有機薄膜太陽電池です。共蒸着を行いましたが、ほとんど発電しませんでした。電子顕微鏡で確認したところ、大きく凝集していることがわかり、不完全で荒れた膜になってしまっているために性能が出ないことがわかりました。バルクへテロ接合構造は単純に“混ぜる”手法であり、自己組織性や結晶性でネットワークをもった構造をとることを期待しているため、人為的にコントロールすることはできませんでした。そこで、私たちは交互積層技術の開発を行いました。これは、数nmの薄い有機半導体膜を交互に積層する手法で、膜厚をコントロールすることで凝集しない膜を形成することができます。図2右の電子顕微鏡写真(断面TEM)を見ると、交互積層膜が形成され、その膜は凝集していないことがわかります。この技術で太陽電池性能を上げることに成功しました。私たちはいろいろな材料を試したり、新しいデバイス構造を開発したり、発電や劣化のメカニズムを解明することで、高性能有機薄膜太陽電池の開発を行っています。


まあ、モジュール形になればいいですけど、どうなんでしょうか。実用化は難しいような気はしますが、研究過程で、また新たな技術開発につながるかもしれません。

それだからこそ、公的研究所がやる意味があるのでしょうね。
FD展でも展示していたように思いますが。人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】
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