書談:永井路子『銀の館』
■『銀の館』 上下
著者:永井 路子
価格:各\530
出版:文春文庫
発行:1983.12
単行本は80年発行。
アマサイが南北朝・室町時代を好きになったのはいつの頃だろう。大河ドラマ『太平記』を見たときか、井沢元彦『逆説の日本史』を読んだときか。足利家は源氏だから頼朝様が好きなように尊氏も好きだったのかな。いずれにしろ結構以前からファンだったのだ。
しかし、足利義政はよろしくない。日野富子はもっとよろしくない。世が乱れているのに、銀閣寺のような趣味に大枚を叩き、その妻は金儲け。なんたることぞ。
しかし、本書を読んでその考えは一転した。というか非常に現代的な物語だなと思った。NHK大河ドラマがホームドラマ化し過ぎていると非難を浴びるが、武将だろうと貴族だろうと、子供は愛しいし、生活のためには何でもやらねばいけないし、夫婦は喧嘩をするもの・・・など基本の人間模様は変わらない。
そして、義政、富子夫婦もごく普通の夫婦である。義政は大棚の旦はん、富子は名家出身。番頭ども(各地の大名)にいいようにされて経営する気はまったくなし。あんな男に任せておくわけにはいかない。代々続いた足利商店を潰すわけには行かない。おのずと息子の教育に熱が入る。「パパのようになっちゃいけませんよ」
その甲斐あって、歴代将軍の中でも1、2を争うほどの名将に・・・なるはずだった。
でも息子はダメ旦那に似てしまう。乳母を最愛の者としてしまう。こうなったのは、母上のせいですよ、おまけにマザコンである(-_-;)。
さらに悲しいことに息子は功を焦って早死にする。
子供が居なくなった夫婦にはビル風のごとく、強く虚しい空気が漂う。
なんか現代と同じだね。
ここでおもしろいのは、庶民の男女を対比しているところである。これは吉川英治の『太平記』にも見られる手法である。お上が硬直していると返って庶民が快活になるだろうか。まあ、いつの時代も一番強いのは庶民だからね。
歴史のおばば永井路子さんの作品、結構読んでいるけど、ダントツのナンバー1かな。
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