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April 29, 2012

松本清張『遠い接近』

■『遠い接近』
著者:松本清張
出版:文春文庫
発行:1977.07
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現在ではよく知られた事実だが、先の大戦の召集令状、通称:赤紙は公平に配布されたものではなく、それを担当する役人に口をきいてもらえればいくらでも回避できるものだった。金持ちやその親族は露骨に賄賂を渡して逃れたという話も枚挙暇がない。

反対に、役人に憎まれたら、健康を害していようが、年を多少食っていても、赤紙が来ることがある。この不運を背負ったのが本小説の主人公・山尾信治である。

彼の場合は、自営の印刷屋業務のため軍事訓練を幾度も欠席していた。それが仇となったのである。始めは3ヶ月で帰ってこれると聞いたのが、朝鮮まで出兵される。そのため、妻子、老父母を広島に疎開させなくてはいけなかった。初期訓練で面会したのが最後となってしまったのである。

山尾は終戦後、自分に不当に赤紙を回した張本人を見つけ復讐を計画する。

裏表紙に書いてあるあらすじがいかにも暗い話なので、ずっと避けていた。清張本も未読が少なくなったので、読んでみることにした。のっけから新兵に対するリンチである。最後まで読めば、全体に対して大したページ数ではないのだが、執拗に表現しているので嫌気が指す。

完全犯罪と思いきや、清張らしいどんでん返しが待っている。推理小説のトリック(というほどのもではないかもしれないが)なんてくらでも思い浮かぶんだな、と思った。アマサイには無理ですがw。

解説では、優れた反戦文学として、と書いてあったが、人は理不尽な形で、理不尽な最後を遂げる、と言った程度だろう。死なないまでも、理不尽な目に逢うのは現代でも同じである。戦争という大きな理不尽にあれば、そえは誰の身にも掛かってくることだ。

なかなか感慨深い小説ではある。

案外映像化が少ないですね。いろいろ問題があるからか。人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】


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