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April 08, 2013

書談:林真理子『下流の宴』

■『下流の宴』
著者:林真理子
出版:文春文庫
発行:2013.01.10

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黒木瞳の主演でNHKドラマでやってました。おもしろかった、痛快でした。だから原作読まなくてもと思ったんですが、手にとったとたん、真理子ワールドに引き込まれました。
由美子の言動は、女性ならずともうなづくのではないのでしょうか。自分の息子が20で高校中退のフリーターで2歳年上のこれまたアルバイトの女性と結婚したいと言ったなら歓迎はできないのでしょう。自分も夫も相応の大学を出ていて、中流のサラリーマン家庭、一人息子に大卒の資格を望むは、分相応でありましょう。

どこも、どの登場人物もうなづくばかりで、それでいて、みごとに一つの世界を作り上げていて、これは先進国のグローバルスタンダードになる小説じゃないですかね。

中でも由美子と満津枝の関係に共感できるかな。ちょうど私と私の母の年代に相応するので。父が、夫が、医者だったことをここまで誇るのは理解を越えますが。まあ、クラスメートに医者の娘がいればお金持ちなんだなあ、と思いますが、それ以上には尊敬しないのですよね。ああ、主人公の実家は地方なんですね。東京近郊以外では、教員と県庁勤めはすごい尊敬されると聞いたことがあります。医者なんて言ったら議員並の地位でしょうね。これでテレビではわからなかった謎が一つ溶けました(いや、関東でも医者は三代続かないと本物ではない、とかあえて勤務医とは区切ったりするみたいですね、そういう階層があるほど「上」の人たちという・・)。

その医師の家であることを誇り、満津枝は、いつか「桧舞台」に子供たちを乗せたいと補正下着売りに精を出します。満津枝は娘・由美子と佳美に言い聞かせます「あなたたちは、あの子たちと違うの。あの子たちはこのアパートで生まれて育ったの。あなたたちはたまたま一時だけここにいるだけなの。根本が違うの」

そうなんだ(^_^;)。ということは、幼少のころは民間アパートで都営住宅に移ったアマサイのうちはあっちの人なんだ。知らなかったw。まあ、これも地域差があると思いますが。

そして、満津枝は一大決心をして孫の翔に寅の子の一千万円を渡し、これで海外留学でもしてらっしゃい、と言い渡します。翔は、お金なんかいらない、もらっても使い道がないと答えます。ドラマで野際陽子の演じたときの悲鳴がよみがえってきます。

「いらない?あんたお金がいらないっていうの。何の意欲もない、将来も考えていない、これじゃ死んでるのと同じだよ」

滑稽ですけど、確かにお金はいらないという青年がいたらびっくりしてしまいますよね。それが一応は正当なものとしても。

しかし、そういう青年がいても不思議でないのが平成時代というものですよね。

アマサイも息子がいて、その子が明確な理由もないまま中卒になってしまったらどうすればいいんでしょうね。全く見当がつきません
可奈や珠緒の生き方考え方も実の興味深いです。

解説の桐野夏生の文章はちょっと手抜きじゃないかな。人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】
≪コメントは応接室にお願いします。≫

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