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January 12, 2014

終わりから始まる物語、物語の未来

昨日は放送大学の講演会に行ってきました。

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創立30周年記念『特別講演会』
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『終わりから始まる物語
~日本文学から見なおす社会と文化のあり方~』
語り手が現在の時点から過去をたぐり寄せて述べる、というスタンスで書かれた小説が多い一方で、数こそ少ないがある着地点を先に示しながら、物語を未来へと押し進めるかたちで語れる作品も日本文学にはある。物語に到達すべき「時限」をしかけることで、作家たちは何をどのように伝えようとしたのか。講演では、時代を横断するかたちで、「終わりの見える」物語をいくつか紹介しながら、社会との接点について考えてみたい。

講師
ロバート キャンベル
【東京大学大学院総合文化研究科教授(近世・明治文学)】
1957年、ニューヨーク生まれ。ハーバード大学大学院博士課程修了。九州大学講師などを経て現職。著書に『ロバート キャンベルの小説家神髄』『Jブンガク』『江戸の声』『読むことの力』など

日時
2014年1月11日(土)13:30開場 14:00開演

会場
放送大学東京文京学習センター  B1F多目的講義室1
http://www.ouj.ac.jp/hp/o_itiran/tokubetu/20140111.html
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テレビのコメンテイターとして活躍され、あの!壇蜜さんが大のお気に入りというロバート・キャンベル先生のお話ということで楽しみにしておりました。

最近、終わり、つまり期限を決めて始まる物語が多くなっているということでした。

うーん、どういう意味かなあと思っていたら、新潮社の小説誌に掲載された曾野綾子氏の「2050年」を事例として上げられました。36年後の世界を描いたシミュレーション小説だそうです。

明治期にはまさしくこの2050年頃を想定した『新未来記』(ジオスコリデス作・近藤真琴訳)というものが発表されました。

ふーむ、未来を予見した物語ということか。

それから、中江兆民、正岡子規、尾崎紅葉、国木田独歩など、有限の時間を語った小説の引用が紹介されました。

アマサイ、てっきりサイエンス・フィクションや終末論などを示しているのかと思いましたがそういうものに限定されるものではないようです。

とにかく、文学の話は眠い、コーヒーを飲んでくるべきだったか。

アマサイが気づいたときは『雨月物語』の話になっていました。
『雨月物語』と言えば幽霊話です(という認識しかアマサイにはない)。
それに「菊花の約(きつかのちぎり)」、親友との再会の約束を守るため、約束の日の夜、自刃した男が幽霊となって現れる、という話があるそうです。

キャンベル先生によれば、それも、未来のある時点に向かっていく文学の一つなんだそうです。

えっ、そうなのか。ふーむ、終わりから始まる物語とはなんなのだろう。

最後には2020年開催決定した東京オリンピックについて触れられました。Twitterで多くの人がこれで「2020年という達成目的ができた」と語っています。「東京オリンピックまでに原発や被災地の問題を全て解決しなくてはいけない」「2020年までに自分の人生はどうなっているだろう」というツイートが紹介されていました、

東京オリンピック開催決定により私たちも物語も始まったということでしょうか。

キャンベル先生はそこまではおっしゃいませんでした。ここで特に結論や話をまとめることはしないと。

なるほど、キャンベル先生は私たちを物語に誘ったのであろうか。

もう、帰ろうと思ったのですが、その昨日に見た瀬戸内寂聴のドキュメンタリーを思い出しました。それで先生に質問してみたのです。

昭和20~40年代の人たちは命を削って小説を書いていた、読む方もそれらに娯楽以上のものを感じていたと思います、しかし平成の現在は、あまり小説は読まれていない、マンガさえも若い人は読まないらしい、『ワンピース』のような一部のヒット作があったとしても。出版産業も先細りになるばかり。こんな現代において小説あるいは物語はどうなってしまうのか、とお聞きしてみたのです。

先生は、
そのことは私も危惧しています、東大のキャンパスでも文庫本に夢中になるという学生は稀です。しかし、私は物語、文学の力は衰えることはないと考えています。政治的変動、災害、戦争、それらをニュースや報道で知ることはできます。人はそれだけでは満たされない、物語や文学を通じてそれらの出来事を咀嚼し再構築することで生きている糧とすることができる、先の震災における長谷川櫂の『震災歌集』や玄侑宗久氏や川上未映子がその役目をなしている、というようなことを言われました。

なるほど。世の中が豊かになっても荒んでも人々は物語を欲して止まないものなのか。

この質問をしてすっきりしました。

キャンベル先生はダンディでセクシーな方でした。人気blogランキング・自然科学にぷちっとな。【押す】≪応接室、ちょっと不具合が出ています。少々お待ちください≫

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