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June 27, 2017

書談:久米郁男『原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ』

統計学の本、3冊目を読みました。
厳密には統計学、ではないのですが。

『原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ』
 -政治分析の方法を身につける-
◆有斐閣社のリンク◆
著者:久米 郁男 (早稲田大学教授)
発行:2013年11月
出版:有斐閣
定価 1,944円(本体 1,800円)

Kumeikuo

ー目次ー
序 章 説明という試み
第1章 説明の枠組み─原因を明らかにするとはどういうことか
第2章 科学の条件としての反証可能性─「何でも説明できる」ってダメですか?
第3章 観察,説明,理論─固有名詞を捨てる意味
第4章 推論としての記述
第5章 共変関係を探る─違いを知るとはどういうことか
第6章 原因の時間的先行─因果関係の向きを問う
第7章 他の変数の統制─それは本当の原因ですか?
第8章 分析の単位,選択のバイアス,観察のユニバース
第9章 比較事例研究の可能性
第10章 単一事例研究の用い方
終 章 政治学と方法論
ちょっと長い,少し個人的な,あとがき

計量政治分析という分野を語っているのですが、社会科学一般に適用できます。
科学的説明という点では反証可能性について語っています。
社会科学でカール・ポパーの説に取り上げている類書はあまり目にしません。
(アマサイが知らないだけかもしれませんが)
事象を説明する例として、小学生なら誰でも習う朝顔の光合成の実験です。
朝顔の葉の一部にアルミホイルをまくとその部分だけ光合成をしていないのがわかる、というアレです。
事象を説明するというのは私たちは小学生のときからやっているというわけです。

しかし、世の中の事象を説明するとなるといろんな変数を解析しないといけないので、複雑になってきます。

森川友義の研究に「若者は選挙にいかないせいで4000万円も損をしている」というのがあります。投票率、社会保障、国債発行額の年度ごとの時系列データから算出しています。この結果を検証しているグループがあり、投票率と社会保障との間には必ずしも正の相関関係があるわけではない、ということを説明しています。そもそも、1票で候補者の当落が決まるわけではないので、関係性を問うこと自体検討はずれということでもあります(これは本書で久米先生が反論している)。

社会科学では、計量的に1つの説を出してもだだっと、反論する論文が出るようです。

投票率で何かの傾向が導きだせれば、政治学として結構な成果だと思いますが、統計を少しでも真面目に勉強すれば、それが簡単でないことは理解できるでしょう。

本書でも、細かい話になると「あとは統計学の専門書」を読んでいただきたいと説明を省いています。

本書は社会科学における統計学の成果事例を紹介しているので、このブログでは統計学の本ということで紹介しました。

次の研究のネタを見つけようと本書を手にとったのですが、ネタはあっても、結論まで導くのは大変そうです。

でもデータ解析をやりたいという人は絶対に目を通しておく一書だと思いました。

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